ナイルパーチの女子会 / 柚木 麻子          ★★★★☆
2018 / 03 / 31 ( Sat )
ナイルパーチの女子会







●内容● (「BOOK」データベースより)

ブログがきっかけで偶然出会った大手商社につとめる栄利子と専業主婦の翔子。互いによい友達になれそうと思ったふたりだったが、あることが原因でその関係は思いもよらぬ方向にー。女同士の関係の極北を描く、傑作長編小説。


●著者● (「BOOK」データベースより)

柚木麻子(ユズキアサコ)
1981年、東京都生まれ。立教大学フランス文学科卒業。2008年、女子高でのいじめを描いた「フォーゲットミー、ノットブルー」で第88回オール讀物新人賞を受賞。10年、受賞作を含めた単行本『終点のあの子』でデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2015年03月28日頃
著者/編集: 柚木麻子
出版社: 文藝春秋
発行形態: 単行本
ページ数: 352p





●感想●



━━  ナイルパーチとは・・・・・・━━
 
  スズキ目アカメ属の淡水魚。
  淡泊な味で知られる食用魚だが、
  一つの生態系を壊してしまうほどの
  凶暴性も持つ。要注意外来生物。

━━━━━━━━━━━━━━━━       




表紙の印象とは大違い。
ページを捲る中にあったのは、いろいろなものが混ぜ合わさったディープな世界でした。

女同士の友情の難しさを描いているようでいて、
そんなことで一括りにはできない様々なものが溢れていたお話だったと思います。


丸の内大手商社で働く志村栄利子は美貌も知性も環境も、何もかもに恵まれている女性。
ただ一つ、同性の友達がいないことを除いては・・・。
そんな彼女とまるで対照的なのが主婦ブロガーの丸尾翔子。
でも、30歳という年齢と同性の友達がいないという点においてのみ、共通しているのです。
そこに共感が生まれ、二人に友情が成立するかと思いきや、
あまりにもコミュニケーション能力が低い人間の悲劇が展開することになるのです。

人を根底の所で信じようとせず心を武装し、さらに人との距離感がつかめない栄利子。
自分の正しさを振りかざすのは実は自尊心が低いことの裏返しのようにも見えました。
常に自分は正しい、自分は勝利しているという自負が無いと生きられないタイプですね。
そんな姿に、他人は息苦しさを感じ離れていきます。
本人が頑張れば頑張るほど…泣
その様は、ただ一生懸命生きているだけなのに、場を共有できず、
まわりを食い尽くしてしまうナイルパーチのよう。
どんなに努力しても変えられない運めを負っているように見えました。

一方の翔子もひょうひょうとしているようでいて、実は闇を抱えています。
人間関係を結ぶのが面倒なために、やはり深い関係を結ぶことができません。
何故そうも面倒に感じるのか・・・それは終盤、同じ性質の父親に吐く台詞に表されていました。
「結局自分が一番可愛くて、自分以外の誰かのために一分だって時間を割きたくない」と。
一言で表せば、超絶受け身人間。
人のために(いや、自分のためにだって)自分からは決して動かない、地味に厄介なタイプだったのです。

コミュ力が無いとはこうも悲しい事なのか・・・
例え上位カースト(?)と見なされるポジションの人でも、コミュ力が無いのは決定的な恥部なのか・・・

しかし読み手の私、2人の心情が心から理解できたのですよ。
それってあまり喜ばしい事ではない気がしますがね。
だって、まるで「お前もコミュ力無し度大だね」と突きつけられたということですから。


ところで、キーパーソンの一人、コミュ力無しの2人とは違って常に女友達に囲まれている23歳の派遣社員の高杉真織・・・
人間関係に恵まれ、それによって幸福を得ている人の象徴のように描かれていましたねー。
実際、女性同士で徒党を組んでいる人に多いタイプだな、と感じました。
(まあ、私個人の統計ですが・・・)
例えば裏表の顔を持つ点や、陰口で盛り上がる点、仲間外には不実な点などね。
私としては、集団で一見楽しそうではあっても、その不純さや、正しくない在り方に惹かれるものはないですねー。
あ・・・自分はやっぱり栄利子よりかも・・・汗

まあ、どんなに頑張っても、生き方の根本を変えるのは容易ではないので・・・
翔子が悟ったように、自分の生き方は誰のせいでもないと認識し、それぞれが自分で引き受けるべきものと捉えるのが健全でしょうね。

人に関心を持って努力し、関係を保つのが理想なのでしょうが、
同時に、人と交われない人生もアリ、とも思えました。
突き詰めれば、どんな人でもその人なりに世界と関わりを持っているということで・・・
それがわかれば、欠落感を持った人も楽になるのではないかな、と思いました。
それこそ、欠陥ではなく、人間関係のバリエーションの一つだとも言い張ってね。


✿✿✿ 2017年8月にメモしておいた感想です ✿✿✿






●人気主婦ブロガーたちは三百六十五日、笑顔とアイディアと美味しいものに満ちた丁寧な暮らしを綴っている。生きていることが楽しくて仕方がないといった様相だ。でも、人生には必ずこんな風に、絵にならないしみったれた一日、つまり実家の掃除をもくもくとする日や、苦手な家族と向き合う日、子供の不始末のために謝りに出掛ける日もあるはずだ。そういう日、彼女達は文章を書かないのだろうか。それとも、そんな日であれ、きらりと輝く一瞬を目を凝らして見付け出し、鮮やかに切り取ってみせるのだろうか。


●アンチと呼ばれる存在が居ないのは翔子のブログの特徴だが、同時にそれは誰からも羨ましがられていないことの表れでもある。


●「自然なところがどこにもないからだよ。あの子はね、つくりものなの。全部をへたくそなその場しのぎの嘘で塗り固めてるの」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
矛盾しているが、苦手だからこそ、嫌悪するからこそ、同じ醜さを持っているに違いないからこそ、自分には同性が必要なのだ。
胸の奥に溜まった膿を見せ合えば、互いへの理解は急速に深まる。共通の敵に向けて罵詈雑言を浴びせれば、自然と呼吸が合わさって、古くからの戦友であるような連帯感が生まれる。


●どうして皆、栄利子をないがしろにするのだろう。自分はこんなにも他人に気を取られているというのに。


●成績やスポーツだけじゃなくて、人間関係においげも百点を目指そうとするあの姿勢がどうしようもなく、うっとうしくなったの。


●いつの間にか、自分がどう思うかより、他人にどう思われるかの方が重要になっていた。


●ここ最近、女同士でつるんでいる人種がやけに堂々としていて声が大きい気がするのは、こちらの僻みだろうか。ブロガーの多くも、必ず同性間の交友関係を自慢する。まるで自分の価値がそこにあるかのように必死で、無我夢中で、形を変えた戦争のようだ。


●言わなくても感じ取ってもらえると思い込み、何もしないでいることほど傲慢な事はない。コミュニケーションを怠けることが、どれほど周りの人間を混乱させ、傷つけるか、父に教えてやれるのは自分だけかもしれない。


●女の一瞬でもその場を楽しくする花火みたいな社交性が、楽天的な調子の良さが、次に繋がらないかもしれない小さな約束が、根本的な解決にはならなくても、実は通りすがりのいろんな人を救っているんじゃないのかな。






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01 : 22 : 22 | ★★★柚木麻子★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
愚者のスプーンは曲がる / 桐山 徹也          ★★★★★
2018 / 03 / 26 ( Mon )
愚者のスプーンは曲がる










●内容● (「BOOK」データベースより)

ある日突然、銃を所持した超能力者(らしい)二人組に拉致された町田瞬。彼らは組織の命令で、危険な能力を持つ(らしい)瞬を殺しに来たのだという。その能力とは、超能力の「無効化」。つまり、瞬の前では超能力者による超常現象は発生しない(らしい)-。なんとか命拾いした瞬は、代わりに超能力者による組織『超現象調査機構』で働くことになり、やがて奇怪な事件に巻き込まれていく…。


●著者● (「BOOK」データベースより)

桐山徹也(キリヤマテツヤ)
1971年生まれ。埼玉県出身。日本大学藝術学部文芸学科卒業。第15回『このミステリーがすごい!』大賞・隠し玉として、『愚者のスプーンは曲がる』にてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●
発売日: 2017年04月06日頃
著者/編集: 桐山徹也
出版社: 宝島社
発行形態: 文庫





●感想●


面白かった~!
超能力を持つ人々が登場するお話なのに、陶能力の描写が無いというのが新鮮かつ笑える!
何故そんなことになるかというと、主人公の超能力は超能力の無効化だから。
・・・・・・・
なんと素敵にバカバカしい設定!
それだけでも好きだと思えるのに、文章が地味に面白くて。
主人公の心の声、ボヤキやツッコミが笑えました。

ただ、後半出てくる悲劇は少しきつかったな~。
でも、お話としては面白かったと思います。
人物設定や言葉のセンスもいい感じ。
どこか伊坂幸太郎さんぽさを感じる、と個人的に思ったのですが、何がどうとは上手く言えません。

「 だから、ロマンだよ。ユリゲてるだろ」
ユリゲたいもんだ、と単純に思いました~




✿✿✿ 2018年1月にメモしておいた感想です ✿✿✿


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19 : 48 : 25 | ★★★桐山徹也★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
マークスの山 / 高村 薫          ★★★★★
2018 / 03 / 25 ( Sun )
マークスの山







●内容● (「BOOK」データベースより)

≪上巻≫「マークスさ。先生たちの大事なマ、ア、ク、ス!」。あの日、彼の心に一粒の種が播かれた。それは運命の名を得、枝を茂らせてゆく。南アルプスで発見された白骨死体。三年後に東京で発生した、アウトローと検事の連続殺人。“殺せ、殺せ”。都会の片隅で恋人と暮らす青年の裡には、もうひとりの男が潜んでいた。警視庁捜査一課・合田雄一郎警部補の眼前に立ちふさがる、黒一色の山。

≪下巻≫勤務先の病院を出た高木真知子が拳銃で撃たれた!やがて明らかになってゆく、水沢裕之の孤独な半生。合田はかつて、強盗致傷事件を起こした彼と対面していたのだった。獣のように捜査網をすり抜ける水沢に、刑事たちは焦燥感を募らせる…。アイゼンの音。荒い息づかい。山岳サークルで五人の大学生によって結ばれた、グロテスクな盟約。山とは何だーマークス、お前は誰だ?-。


●著者● (「BOOK」データベースより)

高村薫(タカムラカオル)
1953(昭和28)年、大阪市生れ。’90(平成2)年『黄金を抱いて翔べ』で日本推理サスペンス大賞を受賞。’93年『リヴィエラを撃て』で日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞を受賞。同年『マークスの山』で直木賞を受賞する。’98年『レディ・ジョーカー』で毎日出版文化賞を受賞。2006年『新リア王』で親鸞賞を受賞。’10年『太陽を曳く馬』で読売文学賞を受賞する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報● 

≪上巻≫
発売日: 2011年08月
著者/編集: 高村薫
出版社: 新潮社
発行形態: 文庫
ページ数: 418p

≪下巻≫
発売日: 2011年08月
著者/編集: 高村薫
出版社: 新潮社
発行形態: 文庫
ページ数: 392p





●感想●


長編・上下巻を読んで、最後の最後にたまらず泣きました。

犯罪者のお話なのに、基本的には淡々と行動を追った描写なのに、涙が止まらなかった・・・

本はこうして、時に自分の奥深くを揺さぶります。
そしてそんな時ほど感想が書けなくなるのです。

ひとつ言えるのは、今の自分にとても響く内容だったということです。
間違いも、後悔も山ほどある自分だから・・・






✿✿✿ 2018年1月にメモしておいた感想です ✿✿✿


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12 : 57 : 08 | ★★★高村薫★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
イノセント・デイズ / 早見 和真       ★★★★☆
2018 / 03 / 23 ( Fri )
イノセント・デイズ










●内容● (「BOOK」データベースより)

田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は…筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。日本推理作家協会賞受賞。


●著者● (「BOOK」データベースより)

早見和真(ハヤミカズマサ)
1977(昭和52)年、神奈川県生れ。2008(平成20)年、『ひゃくはち』で作家デビュー。’15年、『イノセント・デイズ』で日本推理作家協会賞(長編及び連作短編集部門)を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2017年03月01日
著者/編集: 早見 和真
出版社: 新潮社
発行形態: 文庫
ページ数: 480p






●感想●


一気読み。
途中読むのが苦しくなるシーンが何度もありましたが、文章に強引に読まされたという感じでした。
主人公の幸乃の生き方が歯がゆくて、そして周りの人物の行動がまどろっこしくて・・・
悶々とする気持ちと、急いてしまう気持ち(自分がそうするのは無意味なのに)がごちゃごちゃになりました。
特に第七章とエピローグは「速読できないのがもどかしい」と思うほど読み急いだわけですが・・・
うわーこのラストは
重い・・・
沈んだ・・・
この余韻・・・

人が生きる意味と、人を理解することの難しさ、人が人を裁くことの限界などについて考えさせられました。

「でね、その“イノセント”には“無実の”っていう意味もあるんだって。不思議だよね。どうして“純粋”と“無実”が同じ単語で表されるんだろうね」

泣くのをこらえると喉が痛くなりますねー…溜息

イノセントな人がますます生きにくい世の中になっていると思うのは、私の思い込みでしょうか?
弱肉強食の世の中なんて嫌だなー・・・・また溜息




 
  



● 「 人は誰からも必要とされないと死ぬんだとさ。 父ちゃんの手紙にそうあったって。 超図々しいと思わね?必要とされてないわけねぇのにな 」



●いくら自問しても答えは出ない。 答えは出ないが、考えずにはいられない。 あの寒々しい面会室の、アクリル板の向こうとこちらとを隔てるものは何か。 犯罪者を 「 自分とは違う生き物 」 と断じられるのはどうしてか。 たまたまいつか雨が降らなかったから、自分たちは平々凡々と生きてこられただけかもしれないのに。



✿✿✿ 2017年9月にメモしておいた感想です ✿✿✿





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14 : 42 : 46 | ♡かわいいもの♡ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
悪いものが、来ませんように / 芦沢 央 ★★★★☆
2018 / 03 / 21 ( Wed )
悪いものが、来ませんように






●内容● (「BOOK」データベースより)

助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。そして育児中の奈津子も、母や夫、社会となじめず、紗英を心の支えにしていた。そんな2人の関係が恐ろしい事件を呼ぶ。紗英の夫が他殺死体として発見されたのだ。「犯人」は逮捕されるが、それをきっかけに2人の運命は大きく変わっていく。最後まで読んだらもう一度読み返したくなる傑作心理サスペンス!


●著者● (「BOOK」データベースより)

芦沢央(アシザワヨウ)
1984年東京都出身。2006年千葉大学文学部史学科卒業。12年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2016年08月25日
著者/編集: 芦沢 央
出版社: KADOKAWA
発行形態: 文庫
ページ数: 304p





●感想●


騙された。
途中まで、作者の意図通りに勘違いしていました。
最初はママ友の歪んだ関係を描いた、ありきたりな物語かと思っていましたから。
真相がわかってからは、いろいろが腑に落ちました~。
そこに行くまでに正直退屈も感じたりしたのですが・・・
ストーリーそのものより、その騙された感がメインディッシュなのかな、と思いました。
してやられた感ですね。
なんて言っていても、最後は泣かされましたけどね。
ボディーブローのように効いてくるんですよ、細かい描写が。
娘であり、母親である身としては、はっとするほど共感できる部分があったりね。
どんなに懸命に生きても、人生とは誰もが後悔を抱えるものなのかもしれない、と思いました。






 私はずっと、母を憎んできた。けれど、自分自身が母になると、今度は母を憎みきれなくなった。
 つわりの苦しみ、お産の痛み、そこからも終わりなく続く育児の日々━━一つ一つを経験するたびに、強く等なりきれない事を、どうしようもなく知ってしまった。
 だから鞠絵が梨里を産んだときには嬉しかった。鞠絵もまた、自分を許してくれるのだと信じることができたからだ。
 娘に嫌われたくなかった。ずっと許されていたかった━━でも、そんなふうに願う必要がどこにあったというのか。
 「娘は、母を許さなくていいの」
 嫌ってもいい、憎んでもいいから、幸せになってほしい。




✿✿✿ 2017年10月にメモしておいた感想です ✿✿✿



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23 : 35 : 09 | ★★★芦沢央★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
それを愛とは呼ばず /  桜木 紫乃          ★★★★☆
2018 / 03 / 20 ( Tue )
それを愛とは呼ばず





●内容● (「BOOK」データベースより)

妻を失った上に会社を追われ、故郷を離れた五十四歳の亮介。十年所属した芸能事務所をクビになった二十九歳の紗希。行き場を失った二人が東京の老舗キャバレーで出会ったのは運命だったのかーー。再会した北海道で孤独に引き寄せられるように事件が起こる。そこにあったものは「愛」だったのか?驚愕の結末が話題を呼んだ傑作サスペンス長編。


●著者● 

一九六五年北海道生まれ。二〇〇二年「雪虫」で第八二回オール讀物新人賞受賞。〇七年、同作を収めた『氷平線』でデビュー。一三年『ラブレス』で第一九回島清恋愛文学賞、同年『ホテルローヤル』で第一四九回直木賞受賞。『無垢の領域』『蛇行する月』『星々たち』『ブルース』『霧(ウラル)』『裸の華』『氷の轍』他、著書多数。


●基本情報●

発売日: 2017年10月06日
著者/編集: 桜木紫乃
出版社: 幻冬舎
発行形態: 文庫
ページ数: 344p





●感想●


最後の章で驚かされましたね。
なるほど、そういう結末か~。
「それを愛とは呼ばず」というタイトルが意味を持った瞬間でした。

想像してみたのは、自分が伊澤亮介だったら?ということ。
迷うことなく、アリだな、と思いました。
幸福を感じている時に、意識もせずにふわりと境目を乗り越えて逝くことが、とても良いもののような気がして・・・


きっと、あなたにしかできない仕事がありますよ━━。

ささやかな幸福の中でこそいちばん良い死を迎えられるという思いのもと、相手の幸福のために“行動”した沙希は、天使のような存在にも思えました。
苦しみから脱却できず追い詰められてゆく人間を見ることは、夢を絶たれて必死にもがく人間を見ることは、確かにつらいです。
愛する人なら尚のこと。
だからこそ相手の永遠の幸福を願った沙希。
私にはとてもそんな自己犠牲的行動はできませんが、自分がやられるのはいいかも、と思ってしまいます。
これについては、賛否あるでしょうねー。
人によって考えが分かれそうだと思いました。








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19 : 59 : 43 | ★★★ 桜木紫乃★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ブラックボックス / 篠田節子          ★★★★☆
2018 / 03 / 19 ( Mon )

ブラックボックス 





●内容●(「BOOK」データベースより)


真夜中のサラダ工場、最先端のハイテク農場、地産地消を目指す学校給食…「安全安心」を謳う「食」の現場でいま何が起きているのか。利益追求と科学技術への過信の果てに現れる闇を、徹底した取材と一流のサスペンスで描くエンターテインメント超大作。


●著者●(「BOOK」データベースより)


篠田節子(シノダセツコ)
1955年東京都生まれ。東京学芸大学卒業後、東京都八王子市役所勤務を経て、90年『絹の変容』で小説すばる新人賞を受賞し、デビュー。『ゴサインタン』で山本周五郎賞、『女たちのジハード』で直木賞、『仮想儀礼』で柴田錬三郎賞、『スターバト・マーテル』で芸術選奨文部科学大臣賞、『インドクリスタル』で中央公論文芸賞をそれぞれ受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

  • 発売日:   2016年09月07日
  • 著者/編集:   篠田節子
  • 出版社:   朝日新聞出版
  • 発行形態:   文庫





●感想●

あっという間の597ページ!
テーマは“食”。
生きていくのに不可欠なものであるのに、大雑把な性格の自分は深い関心を持っていなかった“食”。
ジャンクやスウィーツは大好物だし、満腹超えても詰め込んでしまうし、食べたいものだけたらふく食べてと、反省しかありませんが・・・。
手軽に食べられるカット野菜やコンビニサラダなどで埋め合わせをしたような気になっていましたよ、今までは。
でも・・・あな恐ろしや~! 
このお話のおかげで少し意識が変わりました。
薄々感じていた危機感に直面させられたというか・・・
でも、悲しいことに、例え意識が変わったとしても、経済的・体力的・能力的等様々な理由で
改善が難しいという現実がありますね~。
理想の食事が摂れるのは恵まれた一部の人々というね。
貧富の差や、少子化、人口減、あまりにも儲け主義な企業、農業の改革を困難にしている制約、マスコミ・ネット社会のいろいろ、そしてズバリ食糧難・・・。
いろいろなことを考えさせられるお話でした。
読み応えがあり、深い内容、最高でもないけれど最悪でもないラスト、と面白い読書ができました




●勝ち組に回っても負け組に回っても、出にくいのが同窓会だ。

●完全制御型っていうのは、そういうことだ。針の穴から堤防が崩れるように、何か一つでも想定外の要素が入り込むと、システム全体が崩壊する

●感覚的な恐れや怯えは非科学的態度とされ退けられるが、人の五感というのは、高性能のコンピュータもかなわないほどの速さで、多くの要素を結びつけ、漠然とした気味悪さ、怖さ、嫌悪感といったものを喚起して、人に回避行動を取らせるものではないのか。



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