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模倣の殺意 / 中町 信
2014 / 01 / 30 ( Thu )
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●内容● (「BOOK」データベースより)
七月七日の午後七時、新進作家、坂井正夫が青酸カリによる服毒死を遂げた。遺書はなかったが、世を儚んでの自殺として処理された。坂井に編集雑務を頼んでいた医学書系の出版社に勤める中田秋子は、彼の部屋で偶然行きあわせた遠賀野律子の存在が気になり、独自に調査を始める。一方、ルポライターの津久見伸助は、同人誌仲間だった坂井の死を記事にするよう雑誌社から依頼され、調べを進める内に、坂井がようやくの思いで発表にこぎつけた受賞後第一作が、さる有名作家の短編の盗作である疑惑が持ち上がり、坂井と確執のあった編集者、柳沢邦夫を追及していく。著者が絶対の自信を持って読者に仕掛ける超絶のトリック。記念すべきデビュー長編の改稿決定版。


●著者● (「BOOK」データベースより)

中町信(ナカマチシン)
1935年1月6日、群馬県生まれ。早稲田大学文学部卒。出版社勤務のかたわら、67年から雑誌に作品を発表。第17回江戸川乱歩賞の最終候補に残ったのが、初長編の本書であった。以降、叙述トリックを得意とし、現在に至っている(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2004年08月
著者/編集: 中町信
出版社: 東京創元社
サイズ: 文庫
ページ数: 327p






●感想●

半分だけだまされた、という感想です。

私は鈍感なタチですが・・・

盗作の件については早くから察しがついてしまいました。

しかし途中途中で感じた違和感が計算尽くのものだったとは・・・

人の思い込みを利用した構成にはだまされました~

これ、1971年の作品だったのかー。

当時としては革新的な作品だったのでしょうね






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21 : 00 : 56 | ★★★中町信★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
瓦礫の矜持
2014 / 01 / 26 ( Sun )
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正義とは・・・
道徳とは・・・
人間の本質について考えさせられるお話でした。
様々な登場人物がいたるところで、正義や組織の腐敗について持論を語っているのが印象的でした。

100%正しい人はいない。
本人にその自負があったとしても、万人から見て100%正しい人はいません。
しかし自分はよりよく生きたいし、同じように考えている人が好きです。
逆に美学が無い人、感謝が無い人は嫌いです。
でも・・・
その“嫌い”という感情ひとつとって見ても、マイナスの感情を持つこと自体減点対象ですね。
よりよく生きたいという、本来なら正しいはずの意識が“正しくない”感情を持つ理由の源になる・・・
皮肉な連鎖です。

今回私が注目したのは・・・
序盤は腐敗しきった人物として描かれていた黒羽隊長。
実は複雑な感情を抱えながら、矛盾を受け入れている人物です。
正しいことをするために“正しくない”自分や他人を受け入れているのです。
苦悩を抱えながら外側を取り繕っている様には、心打たれるものがあります。
人間、いろいろなタイプの人がいますが、こういう複雑な人にはどうしても心を持っていかれます。
例えば・・・
敵対関係にあったとしても、思わず称えたくなるような相手はホンモノだと思います。
さらに進んで、称え合えることができたら、きっと幸せなことでしょう。
そういう人に出会いたいという願望を思い出させてくれる人物でした。

今回のお話で面白かったことは・・・
登場人物が皆、完全にいい人間でも悪い人間でもなかったこと。
リアルでした。




権力に近い組織ほど、腐敗も深くなる。結局、人間という動物はみな弱いのだ。正義を貫くには鋼鉄の意思が必要だが、その意思がない人間ほど安泰を求めて権力に近い職務を選びたがる。


正義なんて大きな問題じゃないよ。結果も二の次だ。プレイヤーがどれだけの満足を得られるか、それが一番大切なんだ。ゲームの本質はそこにあるんだし、そもそもそれこそがこの社会の仕組みそのものだって気がする。


ごく普通の人間ってのは、いいところと同じくらい、悪いところがある。そうだろう?





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13 : 58 : 19 | ★★★五條瑛★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
消滅のリスト / 五條 瑛
2014 / 01 / 14 ( Tue )
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ページ数の多い本でしたが・・・

面白いものだから、どんどん読みたくなりました!



世界の破滅・第三次世界大戦を防ぐための秘密の会議・・・

選ばれた者が世界の動向を決めるシステム。

それに対し様々な勢力がそれぞれの思惑で暗躍する。

・・・と、展開が読めないストーリーで退屈無しでした!

“会議”自体が何なのか明かされないまま登場人物が絡み合うのがスリリングでしたね。

それに、このご時世だからか、設定がとてもリアルに感じました。

戦勝国の驕りや、敗戦国に対する理不尽な要求や、国対国のバランス、策略・・・。

まるで今現在、実際に起こっていることのように感じました。



五條瑛さんの本を読むと・・・

たいてい感じるのが日本人のお気楽加減。

一般の日本人は平和ボケで、今そこにある危機に気づいていない状況だと思います。

悲しいことですが、人類の歴史は争いの歴史でもあります。

臭いものに蓋をする感覚で、不都合に目を閉じるのは簡単ですが危険ですね。

植物でも、生物でも、日本の種はか弱いです。

外来種が入って来た途端に絶滅の危機にさらされたりします。

人も・・・

争いが無い世界が理想ですが、したたかで狡猾な厄介な相手はいるものです。

いざ争いになった時になるべく痛手を負わない知恵や用意、その他の力が日本人にあるのかどうか・・・




「世の中というのは奇妙にねじ曲がっているものだよ。正義も極端に走れば悪になり、悪も貫けば正義になることがある。人間は自由と平等を叫びながらも、そんな社会はあり得ないと知っている。多くの幸福を支えるためには、不幸と不平等が存在しなければならない。それは間違いのない事実だが、はっきりとそれを認めることはできない」


「日本は実に魅力あるいい国だ。特にスパイにとってはね。ここにいるだけで、西側の情報がどんどん手に入る。我々がいくら米国内や欧州の基地を厳しく管理しても無駄なんだ。米国では盗めない情報も極東に来れば簡単に盗むことができる。それは冷戦時代からずっと変わっていない。盗まれた情報の行き先はかつてはソ連だったが、今は中国だ。どこに行くにしろ、我々の血と汗の結晶が、この国で簡単に盗み出されていることに変わりはない。困ったことに、日本政府はスパイに対して何ら効果的な手を打てないときている。政治家は政権取りゲームに夢中で、国民のほとんどは武力を放棄さえすれば国は平和だという短絡的な意見を信じている。攻めることをしなければ、誰からも攻められることがないと…実にバカバカしい。おかげでスパイたちは完全に野放しだ」


「善悪は別にして、別に間違っちゃいないと思うぜ。大勢が不幸になるような正義なんて、ない方がマシだ。悪魔と取り引きした方がいい結果が得られるなら、それでいいじゃないか」





終盤、愛から行動を選択する人間と、
憎しみから行動を選択する人間の決意で物語が締めくくられますが・・・

相反する感情から選択した結果の行動が広い意味で同じというのが皮肉でした。

生きるということはきれいごとだけでは済まされないのですね。




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01 : 11 : 35 | ★★★五條瑛★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
塔の下 / 五條 瑛
2014 / 01 / 13 ( Mon )
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去年はあまり本を読むことができなかったので、今年はたくさん読めたらいいな~


そして今年初の読書は・・・冬休みに図書館で借りておいた五條瑛さんの「塔の下」。

この“塔”というのはスカイツリーのこと。

地理的になじみがある地域が舞台でした。

内容はヤクザ関連で、そちらは全くなじみがありませんでしたが。

でもそのヤクザも、一昔前とは在り方が変化してきているのですね~。

中国マフィアなど日本式を無視した強力勢力、不景気による“売り上げ”の激減、

一見スマートな経済インテリヤクザの増加・・・。

一般的に言えることですが、ワルがワルと分かりにくい世の中になったものです。

そしていろいろなグループに属する人間の境界が曖昧になってきています。

世に必要悪というものが存在するのが前提ならば、
それは必ずしもいいことではない気がしますねー。

悪人、一般人、外国人・・・

なるべくわかりやすい方がトラブルを避けるためには良いと思うのですが。

そうすれば、たいていの人は自分基準の危うきには近寄らず、平穏に暮らせると思います。





「きれいごとなんか言う気はない。
どんなに法律を整備したところで、この世界から、ヤクザと売春婦を無くそうなんて、
どだい無理な話だからな」

「世界最古の職業だからか?」

「その通り。そして、世界の最後の日まで残っている職業なんだよ。そう思わないか?」



━━繁栄の裏には必ず弊害があるように、真新しい技術の終結のすぐ真下には、
世界最古の職業が法の目をかいくぐってうごめいている。━━


どんなに世の中が変わろうが、技術が進歩しようが、
人間という存在はそんなに変わらないということでしょうね。




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23 : 52 : 37 | ★★★五條瑛★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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