笹の舟で海をわたる / 角田 光代
2015 / 04 / 21 ( Tue )
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●内容情報● (「BOOK」データベースより)

あの日、思い描いた未来を生きていますか?豊かさに向かう時代、辛い過去を葬ったまま、少女たちは幸福になったのだろうかー。激動の戦後を生き抜いたすべての日本人に贈る感動大作!



●著者情報● (「BOOK」データベースより)

角田光代(カクタミツヨ)
1967年、神奈川県生まれ。90年「幸福の遊戯」で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。96年『まどろむ夜のUFO』で野間文芸新人賞、97年『ぼくはきみのおにいさん』で坪田譲治文学賞、2003年『空中庭園』で婦人公論文芸賞、05年『対岸の彼女』で直木賞、06年「ロック母」で川端康成文学賞、07年『八日目の蝉』で中央公論文芸賞、11年『ツリーハウス』で伊藤整文学賞、12年『紙の月』で柴田錬三郎賞、『かなたの子』で泉鏡花文学賞、13年『私のなかの彼女』で河合隼雄物語賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



●基本情報●

発売日: 2014年09月
著者/編集: 角田光代
出版社: 毎日新聞出版
サイズ: 単行本
ページ数: 407p



●感想●

後半は涙ボトボト(泣きすぎて頭痛です)
人の一生とは何なのだろう・・・読み終わった時にそんなふうに思いました。
渦中は、特に苦しい時は長い長い時間に思えたことも、
先が短くなった時に振りかえればまるで一瞬のことに思えるのでしょうね。
自分なんかも、通り過ぎた過去は夢のように、あっという間に過ぎたように思いますから・・・


幼少期に疎開を経験した主人公の左織が、偶然に出会った風美子。
疎開先で一緒だったと言う彼女の存在は、思いがけず左織の人生に影響を与えることに・・・。
左織の夫・温彦の弟の潤司と結婚し義理ではあるけれども妹となった風美子の行動は計画的なものなのか。
人生を思い通りに切り開き、どんな場所でも居場所が確保されている、華やかな存在の風美子に左織が感じるのは
嫉妬、羨望、敗北感、疑念・・・。
自分と折り合いの良くない長女がなつくのも、何を考えているかわからない物静かな夫が笑顔を見せるのも風美子。
出会いからずっと、苦しい時には必ず助けてくれた相手に素直に感謝できない罪悪感や劣等感が伝わってきて、
左織と共に複雑な思いを味わいながら読み進みました。

戦争から昭和の激動、天皇の崩御から平成へ・・・
時代背景が上手に織り込まれていることもあり、一人の女性とその周囲の人生を追ったストーリーであると同時に
日本という国の足跡という点も意識させられる展開。
私は後半のニューヨーク旅行のシーンで、左織の思いにハッとさせられました。
それは「この国と戦って負けたのだ」という思い。
今、こんな風に感じる日本人はどれくらいいるでしょうか?

苦しみしか思い出さないような過去は葬ることを自然に選択した人々・・・。
先人のつらい過去など知ろうともしない若者・・・。
いろいろな形が入り混じっていますが、でも、そこにはそれぞれの人生が在ります。
ひとつひとつ見てみればいろいろあるだろう人生も、大きな流れの中では幸も不幸も見えず・・・
在ったものが、やがて無になるという真理から逃れることはできません。
まるで“笹の舟で海を渡る”ような心もとなさです。

しかし誰もが、当然自分の人生の主人公であって、当事者としていろいろなことを味わうのですね。
その個人の視点も親になると境界線が曖昧になって、特に母親は子どもを自分の分身のように感じてしまうものですが・・・
そうではないというところに失望と希望、そしてその絆の強さと弱さの両方を感じさせられました。





●「いつから悲しいという感情は芽生えるのかしら」そんな風にきいてみる。
「そりゃあ、生まれたときからあるだろう」温彦は即座に答え、左織は驚く。人は生まれたときから悲しみを知っているのか。かなしむべきことなど、ひとつも味わっていないのに。

●みんなが離れていくのも、人生が思い通り進まないのも、この人のせいなんかじゃなかった。何か決めるたび、何か選ぶたび、何かしなくてはいけないたび、私はあの、本来の私とは隔たった幼い子どもに押しつけてきたのだ。思考を停止し、何も決めず何も変えず、じっとただ眺めていることを、あの子にさせてきたのだな。今の私の人生を作っているのは、あの貧しくて弱い女の子だ。

●歌のうまい、いじめ尽くされた、薄汚れた顔の小さな女の子が仕返ししたかったのは、班長でもだれでもない。人生だ。自分の人生。意志に反して知らない場所に連れていかれ、人を信じる気持ちも頼る気持ちも奪われて、戻る居場所も家族も奪われて、たったひとりで生きなければならなくなった女の子は、自分の人生に復讐すると決めたのだ。ほしいものを手に入れて、いらないものを切り捨てて、雑草でも毒でも食べて栄養にして、平然と奇跡を起こし続ける。思いどおりに、好きなように生きること、それこそが、従うことしかできなかった、あのつらい日々への仕返しなのだ。

●私は幸せかしら? 不幸かしら? ああやっぱり、悪いことをしたら不幸になるのでも、いいことをしたから幸せになるのでもない。そのどちらもが、人生に影響など及ぼさず、ただ在るのだ。ただ在る、でも私たちはそれから逃れられない。






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19 : 28 : 40 | ★★★角田光代★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ぼくとネモ号と彼女たち / 角田 光代
2014 / 05 / 18 ( Sun )
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●内容●(「BOOK」データベースより)

中古で買った愛車「ネモ号」に乗って、当てもなく道を走るぼく。とりあえず、遠くへ行きたい。行き先は、乗せた女しだい―高校の同級生だった春香、バーで偶然隣合わせていたトモコ、ヒッチハイク中の年上女…助手席にやってくる奇妙な彼女たちとのちぐはぐな旅はどこまで続く?直木賞作家による青春ロード・ノベル。



●感想●

若いってこういうことかも。

考えなしで、迷ったことは人まかせにしちゃったりして、でも勢いはあって・・・

主人公の“ぼく”に感情移入しながら読むのがなぜか心地よく感じました。

時にくすっと笑い、時にきゅーんとほろ苦く・・・

この要素はまさに青春。

ものすごい起承転結があったわけではないのに、なんだか面白く、いいお話でした。

助手席に乗った3人の“彼女”とは人生の一点ですれ違っただけなのでしょうが、
若いうちは特に、そういうことってありますよね。

なんだか自分もタイムスリップして若返った感じ。

そのまま、ちょっぴり切ない読後感に浸りました



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14 : 11 : 18 | ★★★角田光代★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
紙の月 / 角田 光代
2013 / 03 / 29 ( Fri )
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人と人との関係に、何かかたちになるものが必要だと思ったから。

自分が何ものかになるのに、自分が自分以上のだれかになるのに、目に見えるものが必要だと思ったから。



この本に出てくる登場人物は、そんな理由で買い物依存症になったり、逆に倹約家になったりします。

正反対の行動のようで実は根っこは同じ。

自分の自信のなさ、満たされない気持ちをお金という手段で解決しようとしているのです。

自分自身の行動指針がなく、人にどう思われるか、で自分を量っている姿は滑稽で哀れです。

しかしそんな人たちの中に自身を発見する読者、けっこう多いのではないでしょうか。


どんなに着飾っても、いい暮らしをしても、シャンパンを飲み、高級ホテルのスイートに泊まっても・・・。

上っ面の行動で簡単に中身が変わるわけではありません。

自信のない人ほど、自分をごまかすためのツールに依存していくのですねー。

自分で責任が取れる範囲ならいいでしょうけれど、
横領や、消費者金融に手を出す等の破滅的な行動はいけませんっ!

悪意に満ちた娑婆で生きていくのはたいへんですけれどね




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16 : 37 : 02 | ★★★角田光代★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
東京ゲスト・ハウス / 角田 光代
2011 / 08 / 23 ( Tue )

物事に“終わり”が来ることに対しての寂しさをものすごく感じました。

読んでいる時の自分の状況とすごくリンクしてたので余計に。



一言で言えばこの本、まさに青春小説でしたね。

青春って・・・

その真っ只中にいる人はあまり使わない言葉だと思います。

まさに失ってから眩しく懐かしむものなのです。


そして時は止められない。

戻せない。

何でもないゆるい登場人物のお話のようですが、意外にもそんなことに気付かされるのです。


後悔しないように生きなくちゃ。

でももし後悔したら、いつでも修正できるのです。

まだ旅の途中、人生の途中ならね




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12 : 54 : 22 | ★★★角田光代★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
対岸の彼女
2011 / 01 / 16 ( Sun )
対岸





私っていったいいつまで私のまんまなんだろう。


冒頭の一文です。

この一言に象徴されるように、主人公は自分を肯定的にとらえらることができずに生きている女性。

子供が自分と同じように内向的なことに落ち込み、
母親同士の付き合いができずに公園ジプシーをし、
旦那さんとその母親には密かに不満を燻らせ・・・

そんな状況を変えるべく一念発起、就職したことからお話が始まります。




「結局さあ、私たちの世代って、ひとりぼっち恐怖症だと思わない?」

「ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと
思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね」




うーん、ひとりぼっち恐怖症とはうまい表現ですね。

日本人に限ったことなのかもしれないけれど、
誰でも一度くらいは心の奥に持ったことがある感情なのではないでしょうか。

特に女の子はね。

そんな思いを抱え続けてきた女性2人が、もがきながらも
人生への希望を見つけていくというストーリーでしたね。


私自身も思うことですが、人と関わることは正直疲れることです。

誰でも自分が基準だから、自分以外の人はみな自分勝手に思えたりするし、
誰でも長所と短所が入り混じっていて、短所が前面に出たときは正直厄介・・・

学生の時にうんざりしたはずの、社会人のときにうんざりしたはずの人間関係が
また母親になっても繰り広げられ、さらにうんざりする人も多いでしょう。

でもでも、この物語の主人公は最終的には人を信じる道を選びます。

きれいに作られた感は否めませんが、そこにこの物語のよさがあるのだと思いました。

理屈抜きで、人に温かい気持ちを持つことは、自分自身をも癒すことなのですよね



でもね、わかってはいてもね・・・正直、面倒がることの多い私です~







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森に眠る魚 / 角田 光代
2009 / 08 / 28 ( Fri )

うへーっ
読むのがしんどかったこと!
マジで夜うなされました。
この本、細かくリアルなので・・・。
“母”という立場の人は特に、読むのに注意が必要かもしれません。

ただでさえ厄介な女の世界ですが・・・。
( でも私がそれを知ったのは一部のママの生態を見てからのこと )
母親になると、さらにタイヘンなものですよね
つきあい始めは仲良しごっこで楽しくできたとしても、いろいろな人がいますからねー。
距離が狭まると、とんでもないことに・・・というのはよくあるお話。
なので、とてもフィクションとは思えませんでしたね。
登場人物がまた、ありがちな典型的タイプで痛い痛い。
子育てに野心を持っているタイプ、優柔不断で人真似ばかりするタイプ、
他人に迷惑をかけてもお構いなしのマイペースタイプ、他人が持っているものを欲しがるタイプ・・・。
要注意タイプは数え上げたら限がありませんね

もちろん、だれにでも欠点があるのと同時に、長所もあるわけですから・・・。
うまくお付き合いしている方も大勢いらっしゃるとは思いますが
その場合は、他人と(子供を含めて)比較しない、
フィフティ-フィフティの関係を保つ、
孤の時間も大切にする、等注意点があるのでは、と思います。
そうでないと、一部のガマン大会になる恐れあり、じゃないでしょうか。

私の感覚では、他人を利用しているわりにその自覚が無く、その上被害者意識を持ったりする女性特有の図々しさがたまらなく嫌でしたねー。
このお話、みみっちいけれど効き目抜群のエア嫌がらせ(?)という感じで・・・。
まるで毒ガスのような本でしたよ



森に眠る魚森に眠る魚
(2008/12)
角田 光代

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エコノミカル・パレス  / 角田 光代
2009 / 08 / 19 ( Wed )

悶々としたなー
軽い気持ちで読んだのだけれど、ストレスたまっちゃったなー。

登場人物全員の中途半端さが、予感させる不幸が・・・。
なんだか自分にも降りかかってくるようで、いやーな感じでしたね。

今はなんとかなっているけれど、確実に若さは失われ、誇れるようなものは何も無くて・・・。
お手本になるような大人もいない。
夢も希望もない・・・。
どんどん選択肢が無くなっていく状況には虚しさが漂いますね。

ただ、虚しさや孤独は、たいていの人が抱えているものなのかも、とは思います。
隣の芝生は青く見えるだけでね。
人生は修行なのだ


エコノミカル・パレス (講談社文庫)エコノミカル・パレス (講談社文庫)
(2005/10)
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