ロスト・ケア / 葉真中 顕
2016 / 10 / 21 ( Fri )
ロストケア







●内容● (「BOOK」データベースより)

戦後犯罪史に残る凶悪犯に降された死刑判決。その報を知ったとき、正義を信じる検察官・大友の耳の奥に響く痛ましい叫びー悔い改めろ!介護現場に溢れる悲鳴、社会システムがもたらす歪み、善悪の意味…。現代を生きる誰しもが逃れられないテーマに、圧倒的リアリティと緻密な構成力で迫る!全選考委員絶賛のもと放たれた、日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。


●著者● (「BOOK」データベースより)

葉真中顕(ハマナカアキ)
1976年東京生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。’11年より「週刊少年サンデー」連載漫画『犬部!ボクらのしっぽ戦記』にてシナリオ協力。’12年『ロスト・ケア』にて第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、デビュー。続く受賞後第一作『絶叫』も「週刊文春ミステリーベスト10 2014年版」(文藝春秋)、「このミステリーがすごい!2015年版」(宝島社)などにランキング入りし、話題となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2013年02月17日頃
著者/編集: 葉真中顕
出版社: 光文社
サイズ: 単行本
ページ数: 304p




●感想●


━━人にしてもらいたいと思うことは何でも、あなたがたも人にしなさい━━

  

「第五章 黄金律」を読んでいる最中はその展開に圧倒され涙をこらえることができませんでした。
パラパラと読み返してもたまらず泣けてしまう。

人間の生き方、罪、罰、老人介護の現実・・・
さまざまなものを突き付けられ、重い重い読後感でした。
超高齢化社会へ突き進んでいる今、多くの人々にとって他人事ではないテーマのお話だったと思います。


登場人物の人格設定も見事でした。
真面目で正しいことをよしとする理想主義者の検察官・大友。
そんな大友を偽善者とみなし密かに不快感を持ち続ける旧友・佐久間。
実の母の介護で地獄を見たシングルマザー・羽田。
理想と現実の違いに打ちひしがれ、真面目ゆえに心折れた若いヘルパー。
口は悪いが、実は介護についての理解が深く、的確に仕事をこなすベテランヘルパー。
温和な紳士然としていて人手がない時は現場の仕事もこなす介護事務所のセンター長。
そんな職場の人間・出来事を冷静に見ながら淡々と業務にあたる正社員ヘルパー斯波。
ストーリーの中、それぞれの人生を生きているという感じでリアリティーがありました。
鈍感炸裂の私、ミステリーとしてもまんまと騙されました。
単なる問題提起だけにはとどまらず、読み物としても退屈なしでした。


全体的に見て・・・私が心動かされたのはやはり第五章と終章。
人間が生きて死ぬことの意味を考えさせられました。






●「最近、格差なんて言葉をやたら聞くが、この世で一番えげつない格差は老人の格差だ。特に、要介護状態になった老人の格差は冷酷だ。安全地帯の高級老人ホームで至れり尽くせりの生活をする老人がいる一方で、重すぎる介護の負担で家族を押しつぶす老人がいる」


●介護は対人サービスだ。単に物理的に相手の身体の面倒をみれば良いというわけではない。「まごころ」などと表現される、感情面でのサービスも仕事の中に含まれている。笑いたくなくても笑顔を作り、やりたくないことでも喜んでやってるように振る舞い、共感できなくても頷かなければならない。感情という本来コントロール不能なはずのものを無理やりコントロールしなければならない感情労働としての側面が、介護には多分にある。


●そして気が付いた。たとえ年老いて身体機能が衰え自立できなくなっても、たとえ認知症で自我が引き裂かれても、人間は人間なのだと。ときに喜び、ときに悲しみ、幸福と不幸の間を行き来する人間なのだと。
そして、人間ならば、守られるべき尊厳がある。


●僕はかつての自分が誰かにして欲しかったことをしたんです。


●以前、漢和辞典を引いたとき「絆」という時に「絆し」という読みがある事を知った。これは馬をつなぎ止めるための縄のことで、転じて手枷足枷、人の自由を縛るものという意味がある。

・・・

絆は、呪いだ。

・・・

「迷惑かけていいですよ。私もたぶんあなたに迷惑かけます。きっとこの世に誰にも迷惑をかけないで生きる人なんて一人もいないのよ」

・・・

それでも。
それでも、つなぐ。
たとえ行く先が地獄と分かっていても、人はつながることから逃れられない。
ならば、つなごう。せめて愛する人と。
絆ではなく絆しなのだとしても。




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絶叫 / 葉真中 顕
2015 / 02 / 20 ( Fri )
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●内容情報(「BOOK」データベースより)

鈴木陽子というひとりの女の壮絶な物語。涙、感動、驚き、どんな言葉も足りない。貧困、ジエンダー、無縁社会、ブラック企業…、見えざる棄民を抉る社会派小説として、保険金殺人のからくり、孤独死の謎…、ラストまで息もつけぬ圧巻のミステリーとして、平凡なひとりの女が、社会の暗部に足を踏み入れ生き抜く、凄まじい人生ドラマとして、すべての読者を満足させる、究極のエンターテインメント!



●著者情報●(「BOOK」データベースより)

葉真中顕(ハマナカアキ)
1976年東京生まれ。2009年、児童向け小説『ライバル』で角川学芸児童文学賞優秀賞受賞。2012年『ロスト・ケア』にて第16回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞し、ミステリー作家としてデビュー(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)





●感想●

いいお話ではなかったけれど、面白かったです。

どんどん引き込まれての一気読みでした。

主人公の辿る道は、時にダークで邪悪で卑劣でしたが・・・

なぜか応援しながら読んでいました。

なんとか生きて、幸せを掴んでほしいと。

正しくなくても、きれいでなくても応援したくなるような魅力があったのだと思います。

ラストは不思議な清々しさがありました。

究極の場面で泣けたのは感動したから?

この展開なのに、清々しさ・感動って・・・

自分でも戸惑いましたが、ハッピーエンドともいえる読後感でした。

ずっと虐げられてきた者が真理を悟り解放したのは自分自身。

フィクションだからこそ許される展開を、モラルは棚上げして限定で楽しみました



✿貧困、家族の在り方、個と社会の繋がり…現代の問題点について考えさせられる点が多くありました。
 福祉制度を利用した詐欺も、機能不全家族も、実際に増加しているわけで・・・
 いろいろな面で現実的な不安を感じさせられました。




●人間って存在はね、突き詰めれば、ただの自然現象なんだ。どんなふうに生まれるか、どんなふうに生きるか、どんなふうに死ぬか。全部、雨や雪と同じで、意味も理由もなく降ってくるんだ。

●もし未来が信じたとおりになるなら、もし人の気持ちが永遠なら、どんなに世界は穏やかだろうか。

●人間って、『ここなら大丈夫』って思える、自分の居場所が絶対に必要だと思うんです。普通それは『家』や『家族』なんでしょうけど、でも家族を失ってしまった人や、家が居場所にならない人もいますよね。

●人はいつでも裏切るし、自分だっていつでも自分を裏切る。今日正しいと思えることが、明日悪いと思えるかもしれない。





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