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飛族 / 村田 喜代子          ★★★★★
2020 / 03 / 29 ( Sun )
飛族







●内容● (「BOOK」データベースより)

かつて漁業で栄えた養生島に、女がふたりだけで暮らしている。母親のイオさんは、九十二歳。海女友達のソメ子さんも、八十八歳。六十五歳のウミ子が、ふたりを見ている。


●著者● (「BOOK」データベースより)

村田喜代子(ムラタキヨコ)
1945年、福岡県北九州市八幡生まれ。77年に「水中の声」で九州芸術祭文学賞を受賞し、執筆活動に入る。87年、「鍋の中」で芥川賞。90年、「白い山」で女流文学賞。92年、「真夜中の自転車」で平林たい子賞。97年、「蟹女」で紫式部文学賞。98年、「望潮」で川端康成文学賞。99年、「龍秘御天歌」で芸術選奨文部大臣賞。10年、「故郷のわが家」で野間文芸賞。14年、「ゆうじょこう」で読売文学賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報● 

発売日: 2019年03月14日頃
著者/編集: 村田 喜代子
出版社: 文藝春秋
発行形態: 単行本
ページ数: 216p






●感想●


なんともいえない気持ちになりました。
誇りを持って生きているお年寄りにエールを送りたい気持ちと、
老いや死や、人生に対する複雑な気持ちがごちゃ混ぜ状態でした。
おかげで、文字数が少なくすぐ読めるはずの本に、ものすごく時間をかけてしまいました。
文字を追っている間中、切ない気持ちに押しつぶされそうで、本を閉じたことが何度あったか!
イオさんとソメ子さんが愛おしく、見守るウミ子さんの気持ちが自分に重なってくるようでした。
永遠に、何の心配もなく、ささやかな島での暮らしが続けばいいのにな~、なんて少学生のような願いを抱いたりしました。
おばあちゃんたちの無邪気な鳥踊りもずっとできますように、と・・・
しかし、叶わないことがわかっているから切なくなるのでしょう。
実際には台風などの天災や、中国からの密航者や、島の過疎化や、老化など、不安材料はたっぷり。
だからといって、未来のことを心配しても先のことは誰にもわかりません。
人間は皆、今を生きるしかない存在なのですね。
今を精一杯生きることの尊さと同時に、人生の儚さや意味について考えさせられました。







●ウミ子の歩く先を、夕陽に照らされながら二人の女年寄りの黒い影が行く。頭の薄い白髪が海の夕風に煽られて霧のように立ち上がり、転ばないように外股でよちよち歩く後ろ姿を、ウミ子は見守りながら歩く。こうしてみると人間の老化ほど烈しい肉体現象があるだろうか。魚は老いない。鳥も老いない。老いても外見で姿形が変わるものではない。長生きの象でさえ、人間の年寄りの体ほどに崩れてしまうことはない。


●年寄りの心の内は子どものようだ。


●人間はどうしてこんなにのろく、まごまごしながら生きているのだろう。鳥の宿命というものが短命なら、人間の宿命は長い長い一生をひたすら地を這っていくことかもしれない。


●昨日、釣った小アジが今日の弁当の佃煮になり、今日釣ったイカが明日の弁当の天麩羅になる。昨日と今日と明日が真っ直ぐつながっている。








飛族 [ 村田 喜代子 ]



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18 : 23 : 49 | ★★★村田喜代子★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
決壊 上・下 / 平野 啓一郎          ★★★★☆
2020 / 03 / 20 ( Fri )
決壊







●内容● (「BOOK」データベースより)


【上巻】

地方都市で妻子と平凡な暮らしを送るサラリーマン沢野良介は、東京に住むエリート公務員の兄・崇と、自分の人生への違和感をネットの匿名日記に残していた。一方、いじめに苦しむ中学生・北崎友哉は、殺人の夢想を孤独に膨らませていた。ある日、良介は忽然と姿を消した。無関係だった二つの人生に、何かが起こっている。許されぬ罪を巡り息づまる物語が幕を開く。衝撃の長編小説。


【下巻】

戦慄のバラバラ殺人ー汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した!’00年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。


●著者● (「BOOK」データベースより)

平野啓一郎(ヒラノケイイチロウ)
1975(昭和50)年、愛知県生れ。京都大学法学部卒。’99(平成11)年、大学在学中に文芸誌「新潮」に投稿した『日蝕』により芥川賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



●基本情報●


【上巻】

発売日: 2011年06月
著者/編集: 平野啓一郎
レーベル: 新潮文庫
出版社: 新潮社
発行形態: 文庫
ページ数: 480p



【下巻】

発売日: 2011年05月30日頃
著者/編集: 平野 啓一郎
レーベル: 新潮文庫 新潮文庫
出版社: 新潮社
発行形態: 文庫
ページ数: 528p





●感想●


なかなかにストレスフルな読書でした。

最初は登場人物の繋がりやストーリーが予想できず、好奇心からのめりこむ感じ。
しかし事件の匂いが不安感をまき散らし始めると、その描写から逃げ出したくて先に先に読み進む感じ。
全体的に不穏なムードの中、暴力的なシーンはもちろん、沢野崇に寄り添って読んだせいか彼が苦境に立たされるシーンは悉くしんどかったです。

いろいろな人物が吐露するセリフは、作者自身の持論の披露?と思うシーンが多々。
作者がどういう人物かわからないので勝手に持った印象ですが・・・
会話シーンでは、誰が言ったセリフかわからなくなることがけっこうありました。
読解力の無さですね~。
でもめげずに読んだのはやはり面白かった部分があったから。
印象に残る文章がたくさんありましたし。

そして辿り着いたラスト・・・
これって電車への飛び込み自殺の瞬間で終わったということでしょうか?
フロントガラス越しに運転手の必死の形相を見たということはそういうことですよね。
サイドではなくフロントということは・・・
ピカチュウのシールが抑止力になるとか、私が安易に思いつくような希望のあるラストにはしてくれなかったのですね。
ああ、人間の無力と傲慢に失望させられる~
こんな私は幸福主義の幸福病?






●暴力の衝動っていうのはね、善悪の彼岸ですよ。どんな些細な感情だってビル一個吹っ飛ばすのに足りないということはないですよ
 

●善意と悪意とがあって、善意の方に平和があり、悪意の方に暴力があるなんて考え方は、完全に間違っていますね。時には、善意の方が暴力に近いんですよ。


●だけど、もし愛を自己愛から切り離せるとすれば、絶対に愛し得ない人間を愛することだろうね。敵を愛せっていうキリスト教の教えは、そういうことだよ。それは、明らかに倒錯だけどね。しかし、功利主義者どもは、そこにも自意識と自己愛を嗅ぎつけて、迂遠はパラノイア的な算段を見て取るだろうがね。


●教師になりたての頃には、誰もが経験するものだと彼は思った。生徒の側に立っているということを自分で実感するためには、生徒の側に立っていない教師にいてもらうことが一番手っ取り早かった。


●人間は、本当に真剣に、誰がどう見ても絶対に信用するような顔で、平気で嘘をつく


●悪魔の不在に耐えられないのは、他でもない、人間自身だ! 人間は、自らの内なる危険に言葉を与えて、外へと追い出してしまわなければ、どうしてもそれを自分自身と混同してしまう、まったく哀れでみじめな動物だ。殺人犯、強姦犯、放火犯、窃盗犯、……自分がそんな人間でないと信じるためには、自分でないそんな存在が絶対に必要なのだ!


●幸せになる! これは最早、人間が、決して疑ってみることをしなくなった、唯一至上の恐れべき目的だ! <幸福>こそは、現代のあらゆる人間が信仰する絶対神だ! あらゆる価値が、そのための手段へと貶められ、このたった一つの目的への寄与を迫られている! 人間は<幸福>という主人に首輪を嵌められた奴隷だ!


●<幸福>主義! それはあらゆるエラーの暴発を抑止する効率的はセキュリティ・システムだ!小さな<幸せ>! ささやかな<幸福>は発見できる! そんな神話が、いかに老獪にこの世界の矛盾を隠蔽し、温存してきたか! <幸福>の資格! それはそもそもが、遺伝と環境とのグロテスクな産物だ! 愛される<幸福>なる者どもは、艶々しい健康な肉体に恵まれ、奢侈な恰好をして、トラックの遥か後方に立たされた、片輪で、醜い貧民どもを振り返って、一緒に走ろうと声をかけるのだ! そうしてその連中の悪戦苦闘を、お上品に笑って褒めそやし、どうにか自分たちにまで追いつけば、立派なことだと感心してみせる! いいか? このレースを拒否することはできないのだ! <幸福>を望まない人間! それは捨て置かれることさえ許されていない! なぜならレースは、絶対に維持されなければならないからだ! レースから離脱する者たちが、レース自体を破壊することは決して許されない! だからだ! 遺伝と環境とのこの絶望的は格差は、あらゆる美辞麗句を並べ立てて隠蔽されなければならない! 人類が存続する以上、この遺伝と環境との格差は絶対に解消されない! いいや、仮にだ! 万が一、数百年後にあらゆる遺伝と環境の格差がフラットになったユートピアが訪れたとして、それが、今この瞬間に、現代を生きている人間に何の意味がある! あ? 悪魔は、常にそうした者どものために再来する。なぜなら、悪魔の唯一の美徳は、フェアネスなのだからね。


●中世のスコラ哲学者が、悪を<善性の欠如>と考えて、神の創造したこの聖愛kには非存在だと説いたように、現代では、冗談でもなんでもなく、悪は<健康の欠如>に過ぎなくなってる。そうしてその健康の優劣は、生物学的な蓋然性の観点から、極めて説得的に分析されているよ。━━古の偉大な宗教者が、悪の問題のつもりで扱っていた人間が、実は脳に器質的な障害を抱えた病人だったと知ったり、生育史に重大な問題を抱えた行為障害者だったと知ったりしたら、愕然とするだろうね。
……犯罪が凶悪であればあるほど、実際に、病気だという説明は、人を納得させるんじゃない? ……どうして、そんな人間の罪を責められる? 『罪と罰』なんてうっかり口にしようものなら、とんでもない反動主義者と思われかねない。『罪と治療』いや、『病と治療』と言い換えるべきだね。







 

 

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19 : 27 : 41 | ★★★平野啓一郎★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ウォーターゲーム / 吉田 修一          ★★★★★
2020 / 03 / 13 ( Fri )
ウォーターゲーム







●内容● (出版社より)

考えるんだ!
この世界で生き残るために必要なことはたった一つ。
考える、それだけだ!

突如ダムが決壊し、濁流が町を飲み込んだ。
死者97名、行方不明者50名を超える大惨事。
被害を取材する新聞記者の九条麻衣子は、生存者の証言から、事故が大規模な犯罪によるものである可能性に気づき、決壊当夜に町を抜け出した土木作業員・若宮真司を捜し始める。
一方で、産業スパイ組織・AN通信の鷹野一彦は、依頼を受けて、部下の田岡と共にダム爆破の首謀者を追っていた。
エネルギー政策の方針転換は、パニックの最中の方が動きやすい。
ダムの決壊は、水道事業民営化の利権に群がる政治家や国内外の企業が画策したテロだったが、いつのまにか計画自体が何者かに盗まれ制御不能に陥っていた!
さらなる爆破テロの噂もあるなか、若宮を発見し、事件の真相に近づいた九条のスクープが、政財界を揺るがす大スキャンダルを巻き起こすーー。

新聞の一面に躍るニュースの裏側で渦巻く欲望の数々。
その渦中をしたたかに暗躍する、金の匂いに敏感な男女たち。
敵味方が入り乱れての裏切りと騙しあい、謀略、色仕掛け……
非情な情報戦を制し、最後に笑うのは誰か?

震えるほどの圧倒的展開と、度肝を抜く大どんでん返し。
小説の無限の可能性を指し示す、超絶スパイ・エンタテインメント、誕生!!



●著者● (「BOOK」データベースより)

吉田修一(ヨシダシュウイチ)
1968年長崎県生まれ。法政大学経営学部卒業。97年「最後の息子」で文學界新人賞を受賞しデビュー。2002年『パレード』で山本周五郎賞、「パーク・ライフ」で芥川賞、07年『悪人』で毎日出版文化賞と大佛次郎賞、10年『横道世之介』で柴田錬三郎賞を受賞。著書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)



●基本情報●

発売日: 2018年05月
著者/編集: 吉田修一
出版社: 幻冬舎
発行形態: 単行本
ページ数: 348p





●感想●


文句無し!
面白かった! 

新型コロナウイルスによる感染拡大防止のため図書館が一部休止する前日、慌てて目に付いた本を借りたのがこれです。
そしてこれが大当たり!
好みのタイプで、ストーリーが面白くて、読み終わるのがもったいなくて・・・
美味しいケーキをちびちび食べるように休み休み読みました。
面白いのはいいけれども、どうもこのお話には前編がありそうだ、と思ったら・・・
シリーズものだったのですね~。
読む順番は狂っちゃったけれど、そちらも読まなくては。
あまり調べたりせず手当たり次第に読むタイプなのでこういうことも多々あります。
最初にあらすじがわかっちゃったらつまらないからね~。
だからこそ大当たりに出会えた時はとても嬉しい。
細かいことは考えずにその世界に浸れる本はいいですね!





●真司はすみれを見た。そして、こいつを助けてやるなんて無理だと改めて思う。でも、今日一日だけなら救ってやれる、とも思う。一日、そしてまた一日。それなら続けられそうな気がする。


●おそらくこの男も多くを手に入れた代わりに、更に多くを失ってきたのだろう。手に入れたものが大きければ大きいほど、失うものも大きくなるのが世の摂理であり、失うのが嫌ならば得ることを諦めればいい。だが、生きるということは、その失うことに鈍感になるということでもあるのだ。


●「東南アジアの多くの国はその水資源をメコンに頼っています。ただ、このメコン河の上流は中国のチベット自治区で、そこには多くのダムが建設され、実質的にこの地域の水は中国の手中にいあります。お陰で下流の国々では水不足、塩害などの問題が起こり始めている」
↑日本でも中国人が北海道の土地を買いあさって水源を押さえていると聞きました。不安しかないですね。


●巨象を潰すには、蟻がたかるに限る


●「俺は死ぬ時のことなんか考えないようにしてる」
  「なんて?恐いのか?」
  「死ぬ前の一瞬になんの意味がある?」
  呆れたとばかりにリーが笑う。
  「人生ってのは、その一瞬に詰まってるんじゃないのか?」とデイビッドは言い返した。
  「人生観の違いだな」とリーも譲らない。


●「人生のほとんどを金のためにだけに生きてきた男が、その人生の最後で気づいた最高の贅沢ってのが、『金なんていらない』と宣言することだっていうのは、なんとなく響いたよ」
思わずしんみりと語った鷹野に、田岡が呆れる。
「そりゃ、『俺は、金なんて興味ない』って言葉が、最高のカードですよ。たとえば、恋愛だってそうでしょ?『あなたに興味がない』ってカードを出した奴が一番強いですもん」


●「・・・・・・田岡、考えるんだ。どんなことにも突破口はある。それを考えるんだ。これからお前がこの世界で生き残るために必要なことはたった一つ。考える、それだけだ」








ウォーターゲーム [ 吉田修一 ]


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01 : 51 : 30 | ★★★吉田修一★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
罪人が祈るとき / 小林 由香          ★★★☆☆
2020 / 03 / 13 ( Fri )
罪人が祈るとき







●内容● (出版社より)

自殺を決意した少年と、息子を自殺で亡くした父親──。同じ空を見上げたとき、ふたりはなにを祈るのだろうか。涙なくしては読めない感動のラスト! 衝撃のデビュー作『ジャッジメント』に続く、初の長編ミステリー。



●著者● 

1976年長野県生まれ。数々のシナリオ賞受賞ののち、
2011年「 ジャッジメント」で第33回小説推理新人賞を受賞。
受賞作に4章を加筆した連作短編集『ジャッジメント』で16年にデビューした。



●基本情報● 

発売日: 2018年03月24日頃
著者/編集: 小林由香
出版社: 双葉社
発行形態: 単行本





●感想●


以前読んだ「ジャッジメント」と重なるテーマに思えました。
勝手な想像ですが、作者は裁けない悪に嫌悪感を持っているのかな、という気がします。
正義感が強いがために、世の理不尽に常に心を痛めているのではないか、とも。

ストーリーは読んでいてつらいものがありました。
予めいじめが題材の話だと知っていたら、きっと読まなかったと思います。
しかし知らずに手を出して案の定悶々としたわけです。
そのストレスフルな状態から早く抜け出したくて、なかなかスピーディーな読書でした。

さて、そのいじめですが・・・
私は、どんなケースでも加害者が絶対的に悪いと思っています。
しかし全ての加害者はかつては被害者だった言われていますね。
そこをどう理解するかが難しいところです。
個人的には想像力が無い悪人は断罪すべきだと思います。
なので、このお話の“罪人”には共感と応援しかありませんでした。
ラスト、予想通りの展開でも思わず涙、でした。





●深い絶望の中にいるときは、正しい言葉なんて胸に響いてこない。そんなものを偉そうに説教するより、今ある痛みに耳を傾けてほしかった。


●大人になると、だんだんと『次』がなくなっていく気がする。それでも「また次がんばればいい」と言ってくれる人がそばにいてくれたら、人生はそんなに悪くないと思えた。


●「人間って不思議ですね。ある人にとっては善人で、ある人にとっては悪人になる」








罪人が祈るとき [ 小林由香 ]


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00 : 29 : 35 | ★★★小林由香★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
居た場所 / 高山 羽根子          ★★☆☆☆
2020 / 03 / 12 ( Thu )
居た場所








●内容● (「BOOK」データベースより)

表示されない海沿いの街の地図を片手に、私と小翠の旅が始まるー。記憶と存在の不確かさを鮮やかに描き出すまったく新しい、「生」の魔法的リアリズム。第160回芥川賞候補作。


●目次● (「BOOK」データベースより)

居た場所/蝦蟇雨/リアリティ・ショウ


●著者● (「BOOK」データベースより)

高山羽根子(タカヤマハネコ)
1975年、富山県生まれ。多摩美術大学美術学部絵画学科卒。2010年「うどんキツネつきの」で第一回創元SF短編賞佳作を受賞。2015年、作品集『うどんキツネつきの』が第三十六回日本SF大賞最終候補に選出。2016年、「太陽の側の島」で第二回林芙美子文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2019年01月17日頃
著者/編集: 高山 羽根子
出版社: 河出書房新社
発行形態: 単行本
ページ数: 168p





●感想●


雰囲気があるお話でした。
雰囲気って何?と言われれば・・・
上手く説明できないのですが。
文章がきれいで、言葉の選び方が洗練されている所は素敵にも思えるけれど・・・
実はストーリーがよくわからなかったから、ぼんやりした感想にしてお茶を濁しているというのが正直なところかな。

見当違いかもしれないけれど、人の思い出も、国の歴史も、過去は曖昧になっていくものとだということが一つのテーマだったのかな~。
記憶は不確かなものだし、立場によって捉え方が異なるし・・・
同じ場所の地図を描いても、人によって全然違うものが出来上がるだろうことは想像できます。
例えば悪意が無くても記憶の捏造は起こりますし、敢えてそれをしている人もいますね。
人の記憶を操作することなんて、案外簡単なことなのでしょうね。
この本の登場人物のような善良な人だけの世界ならいいのですが、
悪意と執念がある人や国にそれをやられたら困りますね~。
今、世界中を混乱させているコロナウイルスに関してもそう。
真実が印象操作されることなく語り継がれることを望みます。
いろいろな思惑の人が跋扈しているように見えてならないので、ついね。

・・・と、なんだか理解不能なお話の感想を考えているうちに脱線してしまいました。
まあ、個人の感想としては両手放しで絶賛するような気持にはならなかったというのが本音でした~
理解力が無くて忝い






居た場所 [ 高山 羽根子 ]


 
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18 : 04 : 00 | ★★★高山羽根子★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
カインは言わなかった / 芦沢 央          ★★★★☆
2020 / 03 / 01 ( Sun )
カインは言わなかった







●内容● (出版社より)

芸術にすべてを懸けた男たちの、罪と罰。
エンタメ界のフロントランナーが渾身の力で書き上げた、
慟哭のノンストップ・ミステリー!

「世界のホンダ」と崇められるカリスマ芸術監督率いるダンスカンパニー。
その新作公演三日前に、主役が消えた。
壮絶なしごきにも喰らいつき、すべてを舞台に捧げてきた男にいったい何があったのか。
“神”に選ばれ、己の限界を突破したいと願う表現者たちのとめどなき渇望。
その陰で踏みにじられてきた人間の声なき声……。様々な思いが錯綜し、激情はついに刃となって振るわれる。

『火のないところに煙は』で本屋大賞ノミネート。
『許されようとは思いません』続々重版中。
もっとも次作が待たれる作家の、実に2年ぶりの長篇大作!


●著者●


芦沢央

1984年東京都出身。2006年千葉大学文学部史学科卒業。12年『罪の余白』で第3回野性時代フロンティア文学賞を受賞してデビュー



●基本情報●

発売日: 2019年08月28日頃
著者/編集: 芦沢 央
出版社: 文藝春秋
発行形態: 単行本
ページ数: 360p




●感想●

自由になる時間がないと読書ってできないものですね。
読書時間がたくさん取れる人が羨ましい…と思っていたところでしたが・・・
コロナウイルス休暇により、思いがけずまとまった読書時間ができました。
それでまず手に取った本ががこれ。
バレエダンサーのお話なので興味深く読みました。
異なった人物の視点から語られるストーリーがだんだん繋がっていくのが面白かったかな。
冒頭の人物が誰なのか、ずっと意識させられる展開ですが、皆怪しいのですよね。
最終的には、比較的に読み手がダメージをくらわずに済む人物だったと思います。
全体を通して、どこかストレスを抱えながら読み続けるような流れでしたが、
ラストのラストにはそこから解放された気持ちになりました。
“事故憐憫に浸って努力する振りだけして上手くいかなければ全部周りのせい”
不満を抱える人のほとんどがこれだと私も思います。
上手くいった人は上手くいくまで努力した人。
上手くいかなかった人は上手くいく前にやめてしまった人。
ラストのおかげで読後感が最悪にならずに救われました。



●印象に残った文章●

 だって、誠は明らかに節制せずに食べること自体を軽蔑していたのだから。

    
  バレエダンサーのストイックさを表している文章だなーと思いました。
  私も同じように軽蔑するけれど、同時に自分を責めることになってしまう





カインは言わなかった [ 芦沢 央 ]

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22 : 27 : 18 | ★★★芦沢央★★★ | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
マチネの終わりに / 平野 啓一郎          ★★★★★
2019 / 07 / 07 ( Sun )
マチネの終わりに







●内容● (「BOOK」データベースより)

天才クラシックギタリスト・蒔野聡史と、国際ジャーナリスト・小峰洋子。四十代という“人生の暗い森”を前に出会った二人の切なすぎる恋の行方を軸に、芸術と生活、父と娘、グローバリズム、生と死などのテーマが重層的に描かれる。いつまでも作品世界に浸っていたいと思わずにはいられないロングセラー恋愛小説

●著者● (「BOOK」データベースより)

平野啓一郎(ヒラノケイイチロウ)
1975年、愛知県生まれ。北九州市出身。1999年、京都大学法学部在学中に投稿した『日蝕』により第120回芥川賞受賞。以後、数々の作品を発表し、各国で翻訳紹介されている。2008年からは三島由紀夫賞選考委員を務める。主な著書は『決壊』(芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞)『ドーン』(Bunkamuraドゥマゴ文学賞受賞)、『ある男』(読売文学賞受賞)など。また、『マチネの終わりに』は第2回渡辺淳一文学賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


●基本情報●

発売日: 2016年04月
著者/編集: 平野啓一郎
出版社: 毎日新聞出版
発行形態: 単行本
ページ数: 406p





●感想●

前半、後半、最後の章と、なんとなく3日に分けて読むこととなりました。
昨夜(今朝?)は3時半くらいで残す章が一つだったのですが・・・
一気読みしなくて正解でした。
その最終章でグジャグジャの大号泣でしたから。
今日は朝から仕事があったので、読んでしまっていたらとんでもない顔面で出勤することになったでしょう

ここ最近、譲ってもらった本を読むことが多かったのですが、この本は違いました。
本屋さんを流した時に映画化の帯が付いているのが目に留まって、
タイトルに惹かれたので図書館で借りて読みました。(せこくてゴメンナサイ)
福山雅治さん・石田ゆり子さんが主演ということだけしか覚えていなくてよかった~。
読む前に余計なイメージを持ちたくないので。
主演だけは知ってしまいましたが、映画化の帯が付いていなければふと目に留まることもなかったかもしれませんし、あまり考えないようにしました。
(ちなみに福山雅治さんのことは好きでも嫌いでもないです。石田ゆり子さんは好きです。)

読んでみたら・・・
引き込まれる引き込まれる!
ただ「第六章 消失点」 は、読み進むのが苦し過ぎて休み休みでした。
他はひたすらお話に没頭しましたね。
蒔野と洋子の人物像が素敵で、そんな二人だからこそのすれ違いがもどかしくて、
だけど恋愛だけにとどまらず、様々な視点から感じることの多い物語でした。
個人的には、偶然の関連を感じるポイントがあったりもしました。
冒頭の会話の中に故郷の“会津若松”が出てきたり、
ここのところ読むことが多いイスラム社会の問題が出てきたり、
やはりここのところ読んだ本に立て続けに出てくる“井上光晴さん”の名前など・・・
ストーリーとはそれほど関係なくても、なんとなくの暗示が感じられました。
(日常生活でもそれとなく気になるポイントが繋がって、暗示のように感じられることがありますよね)

「人は、変えられるのは未来だけだと思い込んでる。だけど、実際は、未来は常に過去を変えてるんです。変えられるとも言えるし、変わってしまうとも言える。過去は、それくらい繊細で、感じやすいものじゃないですか?」
何度か思い起こさせられるこの主題。
蒔野と洋子、二人が惹かれ合った感性の一致。
読者としては二人がなんとか結ばれますように、と思いながら読み進むのですが・・・
三谷早苗が登場するシーンでは、相手を悪者にするとこちらが悪者のように感じさせられる人物に関わった時の疲労を感じましたね~自分浅いな、と思いましたけれど。
三谷には全然感情移入できませんでした。
良くも悪くも、正しくない人は嫌いですから(キッパリ)。
・・・というか、人は皆常に正しくはいられないのかもしれませんが、
罪に値する痛みを持たない人は嫌いです。うん、浅いですねー。
主人公二人が品行方正であることを肯定、賛辞する気持ちと、だからこそにすれ違ったのだな、ともどかしく思う気持ちが複雑に同居しました。
想像するに一番悶々としただろうというパターンは、二人が真相を知ることなく終わるという形だと思うので、
そうではなくなった時点で「最悪ではなかった~」という安堵感がわきました。
(やはり自分、とことん浅い)
そして結末が予想できない中、コンサートでの回想シーンは、映像を見せられているように泣けましたね。
私も共に感じていましたよ「━なぜなのかしら?」
そこからの流れはそれまでの悶々を洗い流してくれるような浄化の展開でした。

ラストは5年半で3回しか会っていない二人の再会で唐突に切れます。
この後どうなったのだろう?
そこは読者にゆだねられたということでしょうか。
だとしたら、その先のイメージは読み手によっていろいろな展開になるのでしょうねー。
私は・・・
魂で惹かれあった二人なので、その先にどんな人生を生きようと、
魂レベルではその繋がりが絶たれることはないのかな、と思いました。
例え関係を絶ったとしても。
洋子の父子関係がそうだったように。
まさに究極の愛・・・
そう思えたから読後感がよかったのかもしれないな、と思いました。









●なるほど、恋の効能は、人を謙虚にさせることだった。年齢とともに人が恋愛から遠ざかってしまうのは、愛したいという情熱の枯渇より、愛されるために自分に何が欠けているのかという、十代の頃ならば誰もが知っているあの澄んだ自意識の煩悶を鈍化させてしまうからである。


●愛とはだから、若い人間にとっては、一種の弛緩した恋でしかない。その先に見据えられた結婚には、どれほどの祝福が満ちていようと、一握りの諦念が混ざり込まずにはいられないものである。


●蒔野のような、生まれ持った才能が、否応なく他人の嫉妬や羨望を掻き立ててしまう人間は、何か意外な親しみやすさを身につけなければ、たちまち孤立してしまうのだろうと、洋子は考えていた。彼女がこれまで、記者として取材してきた“天才”たちには、共通して、こうした独特のユーモアと一種の人当りの良さがあった。


●孤独というのは、つまりは、この世界への影響力の欠如の意識だった。自分の存在が、他者に対して、まったく影響を持ち得ないということ。持ち得なかったと知ること。━━同時代に対する水平的な影響力だけでなく、次の時代への時間的な、垂直的な影響力。それが、他者の存在のどこを探ってみても、見出せないということ。


●世界に意味が満ちるためには、事物がただ、自分のためだけに存在するのでは不十分なのだと、蒔野は知った。彼とてこの歳に至るまで、それなりの数の愛を経験してはいたものの、そんな思いを抱いたことは一度もなかった。洋子との関係は、一つの発見だった。この世界は、自分と同時に、自分の愛する者のためにも存在していなければならない。憤懣や悲哀の対象でさえ、愛に供される媒介の資格を与えられていた。そして彼は、彼女と向かい合っている時だけは、その苦悩の源である喧噪を忘れることが出来た。


●相手のことを心から愛せないという以上に、相手と一緒にいる時の自分を愛せないというのは、互いにとっての大きな不幸だった。


●「大事なのは、お前たちを愛していたということだった。理解し難いだろうが、愛していたからこそ、関係を絶ったんだ。そして、お前はこんなに立派に育ち、お母さんも平穏に暮らしている。恐らく、間違ってなかったんだろう。」




✿✿ちなみにマチネ(Matinee)とは、昼の公演のこと。 フランス語で「午前中」の意。✿✿







マチネの終わりに [ 平野啓一郎 ]

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